事実とはなんだろう、意見の違いはとても大切
ドラッカーは事実と意見の関係を、『経営者の条件』で次のように言っています。
「初めに意見をもつことを奨励しなければならない。そして意見を表明する者に対しては、事実による検証を求めなければならない。」
「意思決定についての文献のほとんどが事実を探せという。だが、成果をあげる決定を行う者は、事実からスタートすることなどできないことを知っている。誰もが意見からスタートする。」
「もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければならない。」
事実の見え方は人によって違う
事実がどのように見えているかは、人によって異なります。それが表れるのは意見とし
て表明されたときです。ですからドラッカーは、意見を持つことを奨励しました。そして、
その意見に対して検証を求めます。異なった意見は、自分と違う何かを見ているのです。
意見の不一致が問題への理解を深める
ドラッカーは、意思決定には意見の不一致が必要だといっています。理由は3つあります。
「第一に、組織の囚人になることを防ぐためです。」人は善意の下に、都合のよい決定を得ようとします。問題の理解抜きでそのような決定の仕方は、きわめて危険なのです。
「第二に、選択肢、つまり代案を得るためです。決定には、常に間違う危険が伴います。」意見がひとつしかなければ、それが頓挫したときに代替案がないことになります。
「第三に、想像力を刺激するためです。論理づけられ、検討し尽くされ、かつ裏付けられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となります。すばらしい案も生まれます。」反対意見には、自分と違う現実を見て違う問題に気付いている可能性があります。
そしてドラッカーは、「いかなる問題であれ、意見の不一致が皆無などということは、奇
跡です。」といっています。
多様性が尊重される現代においては、さまざまな意見が出ることがあたりまえになります。
そのことが、私たちの周りをよくしていくことにつながると思います。
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