地域や経営、あるいは自分を取り巻くいろいろな問題の全体像が見え、攻めどころもわかるとしたら助かりませんか?今回の「問題分解ツリー」はそれにピッタリ、あなたも今日から試してみましょう。
人口減少の問題分解ツリー
図1にいま私の住む美瑛町が直面している「人口減少」の問題分解ツリーを示しました。
「人口減少」というキーワードを中心に置き、左側に「人口減少」の原因をさかのぼったキーワード、右側に「人口減少」が原因となって次々と引き起こされる結果をキーワードで書き連ねます。
チャート全体として、左から右に「原因→結果」の関係となるように整理します。(因果関係と言います)
細かい問題はできるだけ大きな概念に丸め込みます。
複数の原因や結果があるときはキーワードを枝分けさせます。
今起きていることがこのツリーでおよそ説明できるかチェックします。異論があれば納得いくまで修正します。
ツリーの読み方ですが、「→」は、「~ならば」とか「~すると」「~となれば」のように読みます。たとえば、
(後継者がいなくて)離農や閉店が増えれば、高齢化が進む
高齢化が進めば、(いずれ寿命となり)人口減少となる
以下省略
問題分解ツリーの情報量
いかがでしょうか。ひとことで「人口減少」と言えばそれでおしまいですが、人口減少を取り巻く要素を面として幅広くツリーに分解すれば重要な情報を読み取れます。
いちばん右側にある結果が、いちばん左側の「若者流出」に逆戻り、つまり「人口減少」→「生産縮小」→・・途中省略・・→「若者流出」という負のスパイラルを描いている。
この悪循環のボトルネックは「生産縮小」で、こ冷静が「生産の拡大」になれば悪循環は断ち切れる。よって人口減少の問題の最重要課題は「ひとり当たりの付加価値額の増大」となる。地域の総生産=(人口)×(地域の総生産)÷(人口)
企業レベルでは原材料ー中間材料ー製品ー販売にわたる事業範囲の拡大(6次産業化)による生産の拡大。外部資本の場合は、概ね雇用の分しか生産額に寄与しない。
個人レベルでは、再教育による起業支援で地場企業として生産増に寄与する。(新規就農もこれに入ります)
いままでのキーワードの世界
このように見ると、いままで聞こえた人口減少のキーワード、「過疎化」、「少子高齢化」、「人口減少」、「人口ビジョン」などはそれだけでは何の意味もないと気がつかれましたか?
事業や施策として、「活性化」「まちおこし」「担い手確保」「交流人口」「足腰の強い産業」など実にいろいろなキーワードを名目にしても、図1のボトルネックの「生産縮小」にインパクトがなければ意味がないのです。もったいないことです。
原因から攻めるか、結果から攻めるか
このように問題を面として展開したとき、原因を押さえればいいもの、結果を押さえればいいもの、両方考えないといけないものがあります。短期的には結果の方を、長期的には原因の方をみるなど使い分けることもあります。
まとめ
個人として、問題分解ツリーを書く習慣をつけると思考力が養われ、複雑な問題に気軽に挑戦できるようになります。新ビジネスを模索する起業家にも必須です。
地域や会社で、組織の革新にむけプロジェクトを作ったときも、問題分解ツリーはチームのコミュニケーションのよい手助けとなるでしょう。組織のリーダーの方には必要ですね。
私も若い時、カフェで考えごとをペーパーナプキンにツリーで書いて、アイデアが熟したら急いで仕事に戻ったことを思い出します。ツリーは応用範囲が広いので、また続編でお話したいと思います。では、皆さまの質問やコメントをお寄せください。
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