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源津 憲昭/NorthQuest

P-09.問題を100%カバーする質問(ロジックツリー)

更新日:2020年12月2日

問題解決法を教科書のように説明してわかってもらえるか気になるところです。そこで今回から、問題解決の良くない事例と望ましい事例を比較して見ていただきます。


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問題を説明するとき3つの切り口が理想です。あなたの人生は何ですか?と訊かれたら、現在・過去・未来で説明するでしょう。カメラの三脚も、天・地・人も、3という数字は安定感があるのです


コインの裏返し

いま起きている問題の現象に表面的に反応することを戒めて「コインの裏返し」と言います。


たとえば以前のブログ分析で、「人口減少の悪循環はつまるところ若者の流出」に行き着く」と述べたことがあります。参照 P08.点から面へ、問題の全体像を見る」


その答えのひとつとしてある「美瑛町まち・ひと・しごと創⽣総合戦略」において、基本のアプローチをつぎのように設定しています。

  • 戦略1:将来にわたって安心して子育てができる環境を整える

  • 戦略2:地域産業の活性化により雇用の場を生み出す

  • 戦略3:「丘のまちびえい」に新たなひとの流れをつくる

  • 戦略4:地域と地域の連携により住民の暮らしを守り美瑛の魅力を発信する


この戦略はまちがいではないのですが効果は少ないと思います。

  • 年少人口と生産人口の流出が改善する兆しがみえない

  • 戦略にぶら下がるKPIと個別事業の関連付けが精密に検証されていないという意味において、表面的である



問題を100%カバーする質問

わたしならこのようにアプローチするという事例を図1に示します。これはロジックツリーで作ったチャートです。そこにはつぎのステップが含まれています。

  1. 問題の全体像から見つけたボトルネックをテーマとし、いちばん左に置く

  2. その右に抽象化した3つのサブテーマに枝分け、分解する

  3. サブテーマがいまどういう現象のデータが来ます(省略)。左のサブテーマが100%カバーするように枝分けします。

  4. そのデータとなる主な理由(仮説)を考えます

  5. サブテーマごとに本質的な対策アプローチ(仮説)をおおまかに考えます

※ここで仮説としたのは、あとで検証しなければならないという意味になります。


※あるテーマを漏れと重複がないようにサブテーマに分解したツリーをロジックツリー、ツリーの枝に重複や漏れがないように構成する考え方をMECEと呼びます。



図1
図1-若者の人口移動の動機に関する全体像を分析したチャート。 若者の人口移動の理由を100%説明するサブテーマに分類し、それにぶら下がる現象、おもな理由、本質的なアプローチを大まかに考える。


ここで、若者の移動の動機はなにか?というテーマの質問に対し、教育ですか?仕事ですか?家庭ですか?と3つの質問をすれば、テーマを100%カバーできると私は考えたわけです。

  • ここでは教育と仕事と家庭の3つのサブテーマを設定します。サブテーマは切り口なのであまり具体的でなずほどほどに抽象的で、しかも重複や抜けがないように慎重に選びます。初めは100%にこだわらなくてもよいと思います。

  • たとえば、進学・雇用・転勤・就職・移住・住宅購入などはサブテーマにぶら下がる項目です。これをサブテーマに入れると重複し、議論が混同します。

  • プロジェクト会議で使えば、チャートのどの列の項目を議論しているかわかりやすくなります。

  • サブテーマの右側で矛盾が起きたら、サブテーマを考え直す必要があります。

  • サブテーマは3つが理想で、あまり細かく複雑にしないのがよいと思います。80:20の法則といって、20%の項目数で全体の80%を説明とされています。またあなたの人生は何ですか?と訊かれたら、現在・過去・未来の3つで説明するでしょう。カメラの三脚も、天・地・人も、3という数字は安定感があるのです。



まとめ

  1. あなたがプロジェクト・リーダーなら、会議のはじめにこのチャートで説明するのがよいでしょう。長いWORDの文章はご法度です。チャートの目的はあなたと相手の頭のなかに同じ土俵をセットすることです。1枚のチャートにまとめてみましょう。

  2. この次の投稿では、「仕事によって若者の流入を増やすことができるか?」「仕事によって若者の流出を減らすことができるか?」という仮説を検証するイシューアナリシス(課題分析)を予定しています。

  3. 今回のテーマが現実のものであると実感するデータのリンクをお教えします。簡単なチャートの裏側に精密なデータがあるのが理想的です。 年齢階級別純移動数(美瑛町) 年齢階級別純移動数の時系列分析 人口増減



注)サブテーマの教育・仕事・家庭は、次のデータを参考にしています。

第8回人口移動調査(概要版)-国社会保障・人口問題研究所 10ページ 表Ⅲ-1 現在地への移動理由と分類項目


 


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