システム思考では、 問題となる現象は、よくする力と悪くする力の組み合わせで決まってくると考えます。それを水槽モデルの「フローとストック」で説明しています。
フローとストック
システム思考は次のような考え方をします。
いま目の前に見えている問題となる現象(氷山の一角)は、時間とともに悪くなったり良くなったり変動します
この変動は、良くなる力、悪くなる力の組み合わせで決まっていますす。
良くなる力と悪くなる力は、システムの深みの多くの要素のつながりで発生します
図1の水槽に入ってくる水をインフロー(流入)、出ていく水をアウトフロー(流出)、溜まった水をストック(蓄積)と呼びます。
フローとストックの事例を考えてみます。
良くなる力、悪くなる力がフロー、このふたつが組み合わさった結果がストックとして、事例を見て見ましょう。
人口減少の課題 ストックは人口、インフロー(流入)は出生と転入、アウトフロー(流出)は死亡と転出
当座の資金(預金)が足りないという課題 ストックは預金残高、インフローは入金、アウトフローは出金
信頼が失われたという課題 ストックは信頼度、インフローは信頼獲得、アウトフローは信頼喪失
ちなみに会社の決算では、ストックは貸借対照表(BS)、フローは損益計算書(PL)にあたります。
よくある間違い~コインの裏返し
私たちが問題となる現象(ストック、氷山の一角、結果)だけ見て、良くなる力や悪くなる力(フロー)、そしてそのふたつの組み合わせを考えないとき、失敗が起きます・・・コインの裏返し
人口減少だから、人口を増やす政策を考えよう。
当座の資金が足りないから、資金を不足しないようにしよう。
信頼が失われたから、信頼を回復するように努力しよう。
コインの裏返しをどう避ければよいでしょう?
システム思考では、結果を変えるためにはアクションを変えなければならないと考えます。結果がストック、アクションによって変化させるものがフローだと考えます。
結果=ストック=KGIで測定
アクション=フロー=KPIで測定
フローとストックの関係を整理する
ある期間に、インフローがアウトフローより多ければストックが増える、逆ならストックが減る
ストックは時間で変化していて、写真で測定できる(スナップショット)・・蓄積だから
インフロー・アウトフローは写真で測定できない・・流れているから
※写真で測定=時間を止めて測定できるという意味、スナップショットということもある
まとめ
システム思考では、 問題となる現象は、よくする力と悪くする力の組み合わせで決まってくると考えます。それを水槽モデルの「フローとストック」で説明しています。
このよくする力と悪くする力が、深いところの構造から発生するメカニズムを見える化したのがループ図です。(ブログS-08にて)
Noriaki Gentsu@NorthQuest
参考文献:
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎
システム思考教本 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎
世界はシステムで動く 英治出版 ドネラ・H・メドウズ、枝廣淳子訳
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