• 源津 憲昭/NorthQuest

S-08 ループ図~因果関係(つながり)をあらわす


ループ図はシステムの構造をあらわします。シンプルに書き始めて、現状を観察し改良していきます。その作業のなかで新しいアイデアがうまれます。グループでループ図を共有すれば、とても生産的な話し合いができるでしょう。

課題設定で着目した変数を、増やす力と減らす力に分け、その力が深いところの構造から発生するメカニズムを見える化したのがループ図となります。ループ図は、直面する課題をシステムとして見た診断図となります。そのなかのどこに変化を与えれば、課題がよい方向に動き出す重要な情報が含まれています



フィードバック


何かアクションしたとき、その結果がもとにもどってくることをフィードバックと言います。

  • ネットショップの、☆印の評価ランキングやコメントもそうです。

  • マイクとスピーカーが干渉してハウリングを起こすのは、回路のなかでフィードマックが起きているからです。



いままでの考え方


では、「努力したら成果が出る」という状況のとき、努力と成果の関係をどのように表現するか、次の図1で説明します。

図1ー左は、従来の直線的な考え方による因果関係図。 右は、システムの2つの要素がつながり、互いに作用しあい、最後は自分に結果が戻ってくることをあらわしたループ図。

いまAさんが、ピアノの練習を始めた状況とします。


図1の左は、従来の直線的な考え方です。

  • 練習(努力)すれば上達する(成果)という前提があるからAさんは努力します。

  • 努力が原因で、成果が結果となることを、因果関係と呼びます

  • しかし、もし上達しなかったら前提が崩れ、困ってしまいます。

  • そこでたまらず、”もっと努力する”などと対症療法に走ったりします



ループ図


これに対し、システム思考は前提(固定概念)にとらわれず状況を柔軟に見極めようとします。


図1の右は見極めるためのループ図となります。

Aさんというシステムのなかで、努力と成果の2つの要素がつながって、双方向に作用しあっていると考えます。

  • 練習(努力)すれば、上達(成果)につながる。右向きの矢印

  • 成果がでれば、もっと努力する。左向きの矢印

  • その努力が、ますます成果につながる。


以上のことからループ図について一般的なことを整理します。

  • 2つの要素はシステムの最小単位です

  • 2つの要素は矢印でループ状に結びついたループ図です

  • 2つの要素は、自分の作用の結果が自分に戻ってくるフィードバックの関係にあります

  • 矢印の矢のところにある(+)マークは、努力と成果が同じ方向に動くという意味があります。つまり、努力が増えれば成果が増える、または努力が減れば成果が減る。


このように、システム思考では要素のつながりを、原因にたいし結果が増えたか減ったかというシンプルな見方で表現します。



ループ図を改良し状況をよくする


ループ図はシステムの構造をあらわします。

  • シンプルに書き始めて、観察した現状に合わせて改良し、作成していきます。

  • その作業のなかで新しいアイデアがうまれます。

  • グループでループ図を共有すれば、とても生産的な話し合いができるでしょう。



(事例1)

努力の甲斐あってそこそこ上達したのですが、Aさんはなぜか上達が頭打ちになったことで悩んでいます。ループ図をみて次のように考えます。(図1の右)

  • 努力して、そこそこ上達しました

  • しかし、近ごろ上達のスピードが落ちてきました

  • それを考えると、だんだん努力も少なくなって悪循環に陥っています

  • なんとか練習をもとのように続けて、上達を目指したい



(事例2)


つぎに上の(事例1)の問題を良い方向に向けるため、ループ図を書き換えることを考えます。(図2)  ちなみに、ループ図を変えることは氷山モデルの「構造」を変えることに相当します。

  • あるレベルに達すると、練習の努力がすぐ上達につながらなくなります。つまり、努力と成果のあいだに時間遅れがあります。ちなみに、時間遅れはシステム思考の重要な概念のひとつで、ループ図では矢印の線の中ほどに遅れマーク"Ⅱ"を入れます。


モチベーションを失いかけたAさんはさらに考えます。

  • モチベーションを保ち練習を続けるアイデアはないだろうか?

  • たとえば、小さな成果を出して努力につなげるのはどうだろうか?

  • そこでループ図に、小さな成果とやる気を書き加えました。

  • 小さな成果を得るため、Aさんは家族に観てもらうホームコンサートを計画しました。


図2-現状を変えようと、図1右のループ図の構造を変えたもの。ループ図を変えることは、氷山モデルの「構造」を変えることに相当します。

なお、図2のループ図で、努力|成果|やる気|小さな成果などは変数と呼ばれ、増えたり減ったりします。


ループ図は、身の回りに起きている課題の現象をあらわす診断図の役割を果たします。

  • 原因となる変数と、結果となる変数を因果関係の矢印でつなぎます

  • 原因の変数と結果の変数が同じ方向に変化する場合は、矢印にプラス(+)記号、逆に変化する場合は矢印にマイナス(-)記号を付けてあらわします

  • ちなみに、何かが減るほど何かが減るという場合、ループ図の矢印の記号はプラス(+)です

  • 原因が結果につながり、まわりまわって原因に返ってくるフィードバックを適切にあらわすことで、現実に合ったより良いループ図を描くことができます。

  • 図2で、現状の困った局面を打開するために、小さな成果とやる気という変数を考え出しループ図に入れ込んだ場所を、レバレッジポイント(※)と呼びます。


※ レバレッジとはてこのことで、小さな力で大きな変化を起こせます。システムのなかで小さな力で大きな変化を変化を起こせる場所を、ループ図のなかで見つけたとき、これをレバレッジポイントと呼びます。・・・後日のブログを参照のこと



まとめ

  • 課題設定で着目した変数を、増やす力と減らす力に分け、その力が深いところの構造から発生するメカニズムを見える化したのがループ図となります。

  • このとき、 深いところにあるひとの行動とものごとの動きを観察します・・生理的、心理的、社会的、環境的、経済的な幅広い視野で

  • ループ図は、直面する課題をシステムとして見た診断図となります。そのなかのどこに変化を与えれば、課題がよい方向に動き出す重要な情報が含まれています。

  • ループ図のなかで変化を与えるのに適した場所を、レバレッジポイントと呼びます。(ブログS-09にて) ・・レバレッジ(=てこ、てこの作用の意)


Noriaki Gentsu @NorthQuest

参考文献:

なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか? 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎

システム思考教本 東洋経済新報社 枝廣淳子、小田理一郎

世界はシステムで動く 英治出版 ドネラ・H・メドウズ、枝廣淳子訳


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